携帯小説『金木犀』

恋愛ものの小説(フィクション・ノンフィクション)や、時事コラムなどを思いついた時に書いてます!お時間あれば時間潰しになればと思っております!

新コラム「営業のプロ!試される人間力」

『営業のプロ!!〜爽やか営業マンの人間力〜』



  1月中旬、私は出張で半年程取引をして頂いた企業の方に契約満期の御礼をする為仙台を訪れた。

Aさん…。30代半ばの爽やか系な彼。

私は営業時、商品の魅力を最大限にPRし、満足して頂ける商品を提供できるように最大限に努力しているが、Aさんから学ぶ事は毎回新鮮な知識ばかりで、常に私の考え方を上回っている。その上、更に商品の魅力を引き出してくれる、私からすれば営業マンの鏡と言っても過言ではない人柄なのだ。

  私は多くの営業マンの方と接してきたが、このAさんと時を共にする時間程大切だと思った事はない。会う度に、接する度に私の考え方や知識を成長させてくれるからだ。

仕事を一通り終わらせ、Aさんと仙台市内の居酒屋で食事をすることになった。

週末の助けや新年会の時期が重なり、どこのお店も満卓で8件程居酒屋を探す羽目になった。

ようやく9軒目で入れた居酒屋で、お品書を眺めるAさんと私。

「やっと入れましたね。でも…。ビール、サントリーしかないんだ…。」

と私が残念そうにAさんに話しかけると、Aさんは「ビールがないわけじゃないし、サントリーでもビールがあって良かった。やっと落ち着いて、飲めますね!」と、おしぼりで手を拭きながら返答してきた。

「そぉですね!早速頼みましょう。つまみは何にしましょうか?」

私はビールをオーダーし、何気なく流した会話だったが、Aさんは続け様に、コップに入った水の話をし始める。

『例えばですよ!「コップに水が半分しか入っていない」とネガティブに捉えるか、「半分も入っている」とポジティブに捉えるかは、その人の考え方次第で、見方というのは人それぞれですが、コップに入っている水が半分であるという事実は変わりないじゃないですか?』

思わずハッとさせられた私。

どこで学んだのか、何か論理的で難しい話だと感じる方もいるだろうが、Aさんの人間力は、この様な会話から垣間見れるのだ。

  サントリーしかないとネガティブに考えるか、やっとお店が見つかり、食事ができる上にビールも飲めるとポジティブに考えるか次第で、お酒を飲みながら、有意義な会話をできる事実は変わらないとAさんは伝えたかったのだ。

何事も、営業という職を含めあらゆる分野の職で、成功と失敗は付き物である。しかし、成功と失敗のライン引きは、起こってしまった事実ではなく、事実自体をどう捉えるかというその人考え方や物の見方次第なのだと思う。

恐らくだが、私達の様に仙台市内で飲食をしている人の中には、会社の悪口や上司の悪口を言っているビジネスマンが沢山いるであろうし、隣の席から聞こえてくるのは友達の批判だったりするかもしれない。

事実は1つでも見方は十人十色で変わってくるはずだ。例えばだが、「Bさんはとてもいい人柄だが、仕事が遅い」というのは少々批判気味に感じ取れるが、「Bさんは仕事は遅いがとてもいい人柄だ」と言い換えれば印象は随分変わってくる。同じ事実であっても捉え方によって印象が変わり、自分の思考回路を徐々に変えていくのだ。

いつもの行動を少し変えれば、習慣が変わり、いつもの習慣が変わってくると人格が変わる。そして、人格が変われば運命が変わり、運命が変われば人生まで変わり得るのかもしれない。

言葉は便利なコミュニケーションのツールだが、使い方を間違えると、自分の人生を縛る道具にもなり得る。言葉を上手く使いこなす事で、自分を変える力を持っていると思う。

今後Aさんと仕事上での付き合いは恐らくなくなると思うと残念であるが、営業という職は「言葉を操るプロであれ!」とAさんから何度も教えられた。これからは、自分で成長しつつ後輩ができればAさんの考え方を少しでも継承していきたいと思った一コマであった。